お生憎さま! 私、くのいち令嬢です! - 香月しを
内容紹介
「本当は僕のお嫁さんになるのは嫌なんじゃない?」
「嫌じゃないよ? くのいちになりたかっただけだよ? ぴゅーんと飛んで、しゅばばばって手裏剣投げて、分身の術とか使って……」
「うん、無理かな」
「修行すれば無理じゃないもん!」
「だって、あきらかに人の能力を超えてるよ? 出来るようになるとしても、絶対に地味な修行だよ? シノブって、天才肌なとこあるから、努力するの嫌いだよね」
「努力! するもん!」
シノブは、ぎゅっと握りこぶしを作り、胸の横で上下に振った。眉尻をさげて困ったような顔をしたヒルが、小さく息をつく。
「うーん……シノブは言い出したら聞かないし、僕も一応修行をしようかなぁ」
「ヒルも修行する? 本当に?」
「うん、きみは、放っておくと、とんでもないことをしでかしそうだしね」
「じゃあ、一緒に巻物を見よう! お嫁さん をしながらお庭番するのも、まだあきらめてないんだ~」
「そ、そうなんだ。巻物に門外不出って書いてるけどいいのかな~」
「うっふっふ、この巻物がうちの門を出なければいいのよ」
「大きくなったら、くのいちになって、侯爵家当主になったヒルのお庭番をするの!」
「待って待って、お庭番も素敵だけど、お嫁さんも素敵でしょう?」
小さな祠で巻物を見つけ、目をキラキラと輝かせて宣言した小さな女の子に周囲の大人はたいそう驚いたが、慌てた母親に説得され、シノブこと、シノヴィア・ハトゥーリ伯爵令嬢は、大好きなヒルことヒーリスト・アンドゥーノ侯爵令息と婚約した。
シノブとヒルは大人たちに見つからないように、巻物に書かれている方法で忍者の修行を始めた。
18歳で王立学園の三年生になる頃には、実家の「影」たちをしのぐ人間離れした能力を身に着けていた。
シノブは学園で目立たないように過ごしていたはずなのに、帝国から留学してきた怪しげな学生に絡まれたり、謎の忍者もどき軍団に狙われたり……。
なんだかんだと二人は仲良く忍びとして活躍していくのだが、果たしてシノブは、凄腕のくのいちになれるのか――!?
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
幼い頃に屋敷の裏森で「忍びの書」を見つけ、凄腕の「くのいち」になることを決意した伯爵令嬢のシノヴィア。彼女の夢は、同い年の幼なじみである侯爵家嫡男・ヒーリストの「お庭番」として生涯彼を守ることでした。
ずっと一緒にいるため、母親の言葉に乗せられて「婚約者」になる道を選んだシノヴィア。そんな彼女を優しく見守るヒーリストですが、実は彼自身も類まれなる才能を隠し持つ、とんでもない実力者で……? 外ではクールな令嬢を装いつつ忍者への情熱を燃やすシノヴィアと、ひたすらに自分の能力を隠して「忍ぶ」ヒーリストの、秘密の修行の日々が始まります。
二人の息の合った微笑ましいコンビネーションや、個性が強すぎる家族たちのコミカルなやり取りも必見です。我が道を行くポジティブなくのいち令嬢と、彼女を陰から支えるハイスペック幼なじみの痛快なラブコメディを、ぜひ見届けてください!





















