二人の少女の、切ない初恋。「トロイメライ」 - 田中霙

# ネット文庫星の砂

トロイメライ - 田中霙

内容紹介

××××年・×月・×日(水)

 入院二日目、考え事をしながら病院の中を散歩してみた。気が付いたら迷子になっていた。お昼前だったからどうしようかうろうろしていたら、小宮沙紀という子の病室を見つけた。髪も肌も全身が真っ白だったけど、目だけが真っ赤で、とても不思議な女の子だった。真っ暗な部屋の中で、ぽつんと一人本を読んでいた。その姿がとても美しくて、まぶたに焼き付いてわすれられない。私の手首から咲いた花によく似ていた。何か関係はあるのかな。……もし、もう一度チャンスがあるなら、もう一度だけでもいいから、彼女の姿を見たい。……本音を言ってしまえば、彼女と話がしてみたい。

 

第18回星の砂賞 審査員特別賞

――ある日、左手首から白い花が咲いた。

ごく普通の14歳の少女だった結衣は、突如「身体から花が咲く」という謎の奇病に罹ってしまう。その奇病の名前は……“フラワーシンドローム”。

謎の奇病の解明のために、結衣は大きな大学病院で“研究対象”として入院させられてしまう。

退屈な入院生活の中で出会ったのは……結衣の身体から咲いた花によく似た真っ白な少女、沙紀だった。

二人の少女の、切ない初恋。

 

コンテスト特別審査員・芥川賞作家の三田誠広先生より(抜粋)

手首に白い花が咲く奇病にとりつかれたヒロインの物語。ゾンビとか人面瘡とか、醜悪なイメージで作品をひっぱるのではなく、きれいな花が咲くという着想がおもしろく、ヒロインにも悲壮感はない。(中略)この悲惨な物語の救いになっているのは、同じ病院の奥まった病室にいる、難病の少女との出会いのエピソードだ。同じように病気で苦しむ他者を設定することで、ヒロインの立ち位置が相対化され作品に深さを出している。

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