「貧乏領の天然令嬢は白い結婚に納得していたのに、不貞を働いてしまいました」 - 風子

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貧乏領の天然令嬢は白い結婚に納得していたのに、不貞を働いてしまいました - 風子

内容紹介

 ヒルデさんがドアを開けてくれて、私が通された部屋には二人の人影が見えた。スカートをつまんで、お辞儀をする。

 クリスティーナはゆっくりと頭を上げる。

 自分の婚約者との初対面だ。

 最初に私の目に入ったのは、綺麗な金髪だった。でも前髪が長くてお顔がよく見えない。

(ほっぺはぷくぷくの、まるで子豚ちゃん? あら、思ったよりかわいいですわね。手袋越しだけどおててもぷくぷくです。お腹もぷっくりして丸っこくてかわいいです。自領にいた肉屋のオヤジさんに似ていますわね。いつも、削ぎ落した肉のかけらを取っておいてくださる……。タダではなかったようですけれども……)

「ウィルマーだ。こっちは僕の秘書官のベルノだ」

 ウィルマー様が名乗ってくれて、クリスティーナが空想の世界から慌てて戻る。

「クリスティーナと申します。よろしくお願いいたします」

 ちらりと私を見たウィルマー様が、自分の席に戻り、机の上に置かれた書類を見始めている。

(お忙しいのね?)

「屋敷では自由に過ごしてくれていい。何か足りないものがあったらヒルデに言うように。過ぎる贅沢は困るが、必要なものは買ったらいい」

(必要なもの、ですか? お部屋にあれだけのお洋服がありますのに? 十年ぐらいはすごせそうです)

「いえいえ、たくさんご準備いただきましたので、もう充分です」

 

 貧乏子爵家令嬢のクリスティーナは、歴史あるワルス伯爵家の嫡男ウィルマーに嫁ぐことになった。

 婚姻で提示された条件は、自領の再建へのサポートのほかクリスティーナも王都の学院へ通えるなどいいことづくめ!

 ワクワクの王都での生活!と、思っていたら――

「君が16歳になったら結婚することになるが、書類上のものだと思ってくれ。結婚式もしない」

 ウィルマーから仮面夫婦であること……いわゆる、白い結婚だと言い渡された。

 え?3年限りなの??よし、3年で学べるだけ学び、稼げるだけ稼ごう!!!

 こうしてクリスティーナはウィルマ―の言いつけを守りつつ学院へ通いながら、義父からは領地経営や帳簿管理、義母からはマナーや社交術を習うなど良好な関係を築いていた。

 そんなクリスティーナだが、刺繍の腕を生かし、工房を立ち上げた。作業所として借りた家の隣に住むウィリーという男性と少しずつ仲良くなっていく。

一方、両親の仲は悪く〝仮面夫婦〟だと思っているウィルマーは結婚前も結婚後も自宅で過ごすことは少なかった。理由はクリスティーナが嫌いなのではなく、ある仕事のせいで――。

 

編集部より

 WEB人気作品の電子書籍化!

 どん底貧乏な自領を救うため、自ら畑を耕すほどたくましく、それでいてどこか「天然」な令嬢クリスティーナ。そんな彼女のもとに、名門・ワルス伯爵家から救いの手とも言える縁談が舞い込みます。

 嫁いだ先に待っていたのは、「豚伯爵」と揶揄される無愛想な嫡男・ウィルマー。彼から提示されたのは、愛のない「白い結婚(形だけの夫婦)」という冷淡な条件でした。しかし、超ポジティブなクリスティーナは「領地が助かって学院にも通えるなんて最高!」と快諾。義理の両親に弟子入りして経営を学んだりと、持ち前のバイタリティで伯爵家の人々を驚かせていきます。

 一方、冷淡に見えるウィルマーには、王太子秘書官としての「裏の顔」があるようで……? 打算から始まったはずの仮面夫婦の関係が、クリスティーナのピュアな行動によって少しずつ変化し始めます。

 納得していたはずの白い結婚。それなのに、なぜ彼女は「不貞」を働いてしまったのか――?  天然令嬢が巻き起こす、波乱万丈な新生活と恋の行方をぜひ見届けてください!

 電子書籍限定の書き下ろしとして、ウィルマーの父と母の恋物語が収録。WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!

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