「炎帝に嫁ぎましたが、どうやら小動物だと思われているようです」 - 束原ミヤコ

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炎帝に嫁ぎましたが、どうやら小動物だと思われているようです - 束原ミヤコ

第1巻と第2巻を合冊化した「完全版」を配信開始します。

完全版限定の書下ろしでは、ジゼルハイドとアンネリアの子ども、リアージュとの幸せな日常を収録。

第2巻 内容紹介

「……二日ほど、北の離宮に滞在しようと思っている。館を整えるためにラヴィーヌや侍女たちを先に向かわせていたが、先刻戻ってきたところだ。俺たちがいる間は誰も館に近づかないように命じたが、……不安ではないか?」

 低く落ち着いた声が鼓膜を揺らした。

 とても安心する声だ。一つ一つ言葉を確認するように丁寧に話をしてくれるジゼルハイド様の声が、好き。 

「不安なんて……」

 ラヴィーヌは私の側付侍女で、こちらの国に来てからずっとよくしてもらっている。私とジゼルハイド様が初対面の時よりもずっと親密になれたことを、とても喜んでくれた。ここ数日姿が見えないと思っていたら、離宮を整えにいってくれていたのね。

「二人きりでいられるのは、とても嬉しいです、ジゼ様」

 ジゼルハイド様は私の頬をさらりと撫でて微笑んだ。

 種族を越えて愛しあう竜人の皇帝ジゼルハイドとアンネリアだったが、アンネリアが花嫁として呼ばれたのには理由があった。

 竜人たちは『鱗病』と呼ばれる問題を抱えており、竜から人の姿になることができない者が増えているのだという。そして病を患った竜人は、次第に知性を失い、獣に成り果て、ただの竜として竜人を襲うようになる。その治療のために、人の血を再び竜人の中に混ぜる必要があると一部では考えられていているが、真実はいまだ不明だった。

「もしかしたら、王国の図書室なら、治療する方法が見つかるかもしれない!」

 アンネリアの国では、かつて竜と人が手を取り合って暮らしていた。それが二つに分かれてしまったのは、人と竜人の間に争いが起こったからだ。だとしたら、アンネリアの国にはなにか治療法を記した文献が残されているかもしれない。それを探さなければ――。

 書下ろしには、愛しあう二人の間に生まれる新しい命の話を収録。

第1巻 内容紹介

「お前が、王国から来た人間か」

 低くよく通る声が、私を呼ぶ。

 高圧的というわけでもなければ、優しげなわけでもない。淡々とした声だ。精悍で美しい顔立ちだけれど、その表情もあまり変わらない。怒っている訳でもなければ、微笑んでいるわけでもない。

 何を考えているのか――わからない。

 どんな方なのかまだわからないのに、見た目が好みすぎて勝手に胸が高鳴ってしまう。

 落ち着くのよ、私。目の前の男性の見た目が、理想通りだからといって――私の役割を、忘れてはいけない。

 私は膝を曲げて、スカートを摘んで自国に則った礼をした。

「はじめまして。アンネリア・ユーヴェルハイムと申します、ジゼルハイド・オグニアス様」

 謁見の間の椅子は、煌びやかな広間に置かれている。天井からは四角いランプがいくつも吊り下がっていて、蝋燭も立てられていないのに光っている。 

 ジゼルハイド様の座る椅子の背後の壁には大きな円形の格子窓があり、複雑な模様と共にこちらも鳥の姿が描かれている。まるで、月の上を優雅に鳥が舞っているかのようだった。

 柱も壁も装飾が多い。黒と、金と、赤。

 そんな色に取り囲まれた空間に立っていると、少々目眩を感じる。

「お前たちは、……カブトムシを食べるのか?」

「食べないわよ!」

 ――これが私と、ジゼルハイド様の出会いである。

「炎帝ジゼルハイドの花嫁になって欲しい」

 婚約者もなく結婚の予定もない公爵令嬢アンネリアは、国王陛下の頼みで隣国の皇帝に嫁ぐことになった。

 隣国は竜人たちの暮らす国。竜人は人よりもずっと強い存在なのだと言われている。

 その中でも炎帝と呼ばれている皇帝ジゼルハイドは、炎を纏った恐ろしい竜だという。

 アンネリアの理想の男性は、体格の良くて逞しくて強い人。

 炎帝ジゼルハイドはまさにアンネリアの理想通りの逞しい美丈夫で、噂とは違いアンネリアを溺愛してくれるようになる。それはもう必要以上に優しく、慎重に。

(もしかして、私はジゼルハイド様に小動物だと思われているのではないかしら……!)

 小動物として扱われていることに気づいたアンネリアと、アンネリアのことが可愛くて仕方ない竜人の皇帝の、異種族勘違いすれ違いラブコメディ。

 書下ろしでは、ジゼルハイドのアンネリアに対する思いを、少しだけ垣間見ることができます。

編集部より

 人気作品がミーティアノベルスに登場!

 竜人という人と異なる種族の皇帝に嫁ぐこととなったアンネリア。種族の異なる相手との婚姻で悲壮感に暮れているかと思いきや、『炎帝』ジゼルハイドは彼女の理想そのもので……

 しかしジゼルハイドの必要以上に優しく慎重な扱いに、アンネリアはもしかして自分は「小動物だと思われている」のではないかと悩み……?

「お前たちは、……カブトムシを食べるのか?」から始まる二人の生活は、「あ、これは絶対面白いラブコメディだな……!」と予感させます(そしてその予感は的中するでしょう!)。

 電子書籍版では限定の書き下ろしを収録! WEB版を既読の方も、珠玉の異類婚姻ファンタジー・ラブコメディをぜひお楽しみください!

『これからも読みたい!もっと少女小説ガイド』で本書が紹介されています!

〝越境〟する少女小説精神(スピリット)! 

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◎作家インタビュー:野村美月・高殿円

◎豪華コラム:飯田一史/市川沙央/井辻朱美/北原尚彦/紅玉いづき/瀬戸夏子/速水健朗

◎書評執筆協力:池澤春菜・香月孝史・タニグチリウイチ・細谷正充

時事通信出版局 書籍紹介ページより引用

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