「引きこもりの私に求婚した相手は離れに愛人を囲っているようです」 - 羊蹄

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引きこもりの私に求婚した相手は離れに愛人を囲っているようです - 羊蹄

内容紹介

 近くで見ると、驚くほど精悍な顔立ちをしている。太めのきりりとした眉に、深い海のような濃紺の瞳、灼けた肌。兄のヴァルターと同級生ということは、二十一歳か。それよりだいぶ落ち着いて見える。二十五歳の長兄と同級生と言われても違和感がない。

背は父よりも頭半分は大きいだろうか。貴族というより騎士然とした風貌にしばし見とれていると、彼はかすかに目を細めた。

 歓迎されてるようにはとても思えないその目に見つめられ、少し寂しさを感じる。期待していたわけではない、それでも。

(やっぱり彼も、ギルフォード伯からの指示で結婚を決めたのでしょうから)

 政略結婚だもの、仕方ない。

(他に愛する人がいるのに、家柄だけで選ばれたわたくしを正妻にしなくてはいけないのだもの、面白いわけありませんよね……)

「ベルタ嬢」

 心地よく低い声に名前を呼ばれて顔を上げると、マティアスはじっとベルタを見つめていた。

「はい」

「……少し、お時間をいただけますか?」

 思いがけない申し出に、数回、目を瞬いた。

 

 侯爵家次女のベルタはその性格や容姿から社交界では『侯爵家の生きた亡霊』と評されていた。そんな地味で存在感のないベルタに求婚してきたのは、「屋敷に女を住まわせている」と噂のあるギルフォード伯爵家の嫡男マティアスだった。

 別に愛する人がいるのだとしても政略結婚なんてそんなものだとベルタは求婚を受け入れる。マティアスとわずかな時間会話をしたことで彼がまじめで不器用で、そしてとても優しい人なのだと気づいたベルタ。もらい手のなさそうな自分を選んでくださった恩返しとして、他に愛する人がいるとしても旦那様となるマティアスの大事なものを自分も大事にし、精一杯支えたいと心に決めたのだ。

 伯爵家へ引っ越したベルタは、離れの白い家で隠されるように住む美しい女性アーニャと出会う。マティアスには内緒で会っているうちに二人は仲良くなるものの、ベルタはマティアスとアーニャの関係が気になって仕方がない。マティアスの優しさに触れる度どんどん惹かれていく自分に気づき、嫉妬で胸が張り裂けそうになっていくのだった。

 そんなある日の午後、仕事でマティアスが出掛けたあとにアーニャのいる離れに行くと、アーニャの嬌声が漏れ聞こえてきて――。

 アーニャの正体、それからマティアスの真意は――。

 

編集部より

 人気作品がミーティアノベルスに登場!

『侯爵家の生きた亡霊』と揶揄される令嬢ベルタは、伯爵家の嫡男マティアスのもとに嫁ぐことに。

 マティアスは女性を囲っていると噂されておりましたが、政略結婚ゆえに気にしないことにするベルタ。

 そして実際に嫁いだあと、邸宅敷地内の離れに住まう美しい女性アーニャに出会います。きっとアーニャが件の愛人なのだと思うベルタですが、マティアスの実直な人柄にも惹かれていき……

 電子書籍版には書き下ろしの番外編でベルタとマティアスの新婚旅行を収録。未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!

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