「自称空気の読める令嬢は、義兄の溺愛を享受する」 - 香月しを

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自称空気の読める令嬢は、義兄の溺愛を享受する - 香月しを

内容紹介

 義兄のブラッドリー・アニストンは治癒魔法の使い手らしい。治癒魔法師は体のどこかに魔法陣を持っていて、それを目的の部位にあてることによって治療ができる。赤の他人に施せないということは、魔法陣が微妙なところにあるのだろう。治癒魔法を使える人は結構いる筈なのに治癒魔法師がいつも人手不足なのは魔法陣の場所のせいもあった。使い手が、名乗りを上げないためだ。

「……お尻とかに魔法陣があったらさすがに無理ですもんね」

「何言ってんだ! 違う!」

「チェルシーちゃんごめんなさいね。息子は思春期なの」

「わかります。本で読みました。十代の半ば頃に、特に少年に見られるやつですよね。親の言うことに反発し、年頃の女性を見るとモヤモヤしてしまう。それが思春期ですよね」

「やめろおおおお!!」

 目を剥いて怒っている。そうだ。思春期を指摘されるのも、結構な刺激になってしまうのよね。失敗失敗。それにしても整った顔が崩れるのを見るのは面白い。先程から私はずっと笑顔だ。感情がはっきりと顔に出てしまうのは我ながら珍しい。

「ブラッドリー、口の端の傷だけ早急に治してやってくれ。まだ血が滲んでいて痛々しいだろう?」

「よりによって口元か!」

「だ、大丈夫ですお義父様。痛みなど我慢できます!」

「ぐ…………ッ」

 健気な少女を演出してみた。胸の前で手を組み、義父をキラキラとした目で見つめる。ちらりと義兄に視線をやると、罪悪感に苛まれているような顔をしていた。あ、まずい。私が空気を読みすぎたせいで被害者が生まれてしまった。声をかけようと口を開いたら、義兄は悔しそうな顔をして私を手招きした。

  

「空気の読める女になりなさい」

 祖母の教えである。

 小さな頃から叩き込まれた空気を読むという行為。天涯孤独になってしまったチェルシーは、突然現れた男爵家に実家を追い出され、名前まで奪われてしまう。

 起死回生を狙って孤児院で生活を始めたチェルシーの元を訪れたのは――?

「おい怪我を見せてみろ」

「お構いなく」

「いや、怪我してるだろ」

「大丈夫です」

「放置しているこっちが煩っちゃうんだよ!」

「大・丈・夫!ですよ~!」

 これは、変な空気の読み方しながら大好きな令息に溺愛され、ざまぁをしていく少女の物語。

 

編集部より

 人気作品がミーティアノベルスに登場!

 亡き祖母の「空気の読める女になりなさい」という教えを守って(いるつもりで)生きてきた子爵令嬢のチェルシーですが、男爵家の謀略により生家も、名前すらも奪われてしまいます。再起を胸に秘めながらも今はその時ではないと、孤児院で自らの成長を優先したチェルシー。

 そして独特な解釈で空気を読んでいく彼女に、遠縁から救いの手が差し伸べられ……

 WEB版から大幅に加筆修正し、また印象の違った物語となっておりますので、初読の方はもちろん、WEB版を既にお読みの方もぜひお楽しみ下さい!

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